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「あ、あったぁ!!」
不思議な赤紫色や、青紫色をした直径3,4センチほどのまん丸木の実が、5個ほど集まって実っているのをを指差して、リアーネは今まで以上に眼を輝かせた。
その声を聞き、すこし足取りの軽くなったアールは走ってリアーネの傍へ寄ってきた。
「これ?」
「これよ!」
「大きい・・・」
「あんまいのよ!」
「ふーん」
実感が湧かなくて、生返事を返す。
「・・・君ねぇー、この美味しさが分かっていない様ねぇ。」
リアーネは、アールの口に房の中の一つを半分ほど無理やり押し込んで、残りを輝の持つカゴヘ持っていった。
一口で食べるには少し辛い気もするその実を、誰にも見られない様に一旦口から出し、齧ってみた。
赤い汁が大きさに見合う分より少し多いぐらい出てきて、口内を甘く染めた。
苺の様な、葡萄の様な、マンゴーの様な。なんともいえない味。
酸味もあり、少し、独特な味がして、とても甘い、でも、飽きる甘さではない。
アールは大きな種がひとつ入っているのを左手の人差し指で穿り出し、残りを一気に口に入れた。
汁の滴りそうなその実を口に入れたままリアーネの元に走った。
未知の美味さに感動したその眼は、輝きながら、色々な感想を瞬時に彼女に伝えた。
「分かったら、たくさん集めてね」
とびっきりの笑顔で言うリアーネはニコニコしながら、アールにナイフを渡した。
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