森の中、リアーネは鼻歌を歌いながら自分の大好きな果実を集める。
アールも、あの果実の味を思い出しながら精一杯集める。
「イタッ」
アールは足に違和感を感じ、靴を脱いで見ると、足に棘が一本刺さっていた。
いつの間に入り込んだのか。結構太い棘に見える。
森の中を、草を踏み倒しながら進むのは、やはり自分には相当きつかった。
深々と刺さった棘をどうすることも出来ずに眺めていたら、少し悲しくなってきた。
「・・・痛い・・・」
この棘を抜いていいのか、抜いてはまずいのか、考えているうちに鈍い痛みがじわじわとやってきた。
これって、膿んだりとかするんだろうか。
「膿むとヤバイ」って、オーシスが言ってた・・・けどあいつは時々嘘を着くからな。
でも本当に膿んだらどうしよう。
というか膿むって何だ?
なんとなく、発音からして痛そうな、気がしなくも無い。
「・・・リアーネ」
ポツリと助けを求めてみても、夢中なリアーネはこちらを見てくれない。
「リアーネ」
もうちょっと大きな声で呼んでも、全然届かない。
しかたない。こっちにするか。
「輝ー」
「ほいほい、どうした?」
すんなり来てくれた・・・
刺さった、と簡潔に説明すると、輝は二秒で綺麗に棘を抜いた。
「どうってこと無いっしょ。これぐらい」
輝は刺さった棘をまじまじと見つめ、捨てた。
「膿む?」
「ないだろ」
「本当に?」
「もう痛くないでしょ」
「痛い」
「・・・」
輝は眉間に皺を寄せたが、ポケットから小さい白い容器を取り出し
シュッ
少しだけ、本当に少しだけ、刺さった所に容器の中身を吹きかけた。
「消毒。沁みる?」
「・・・なんとなく」
「それは沁みるって言わないの」
輝はそう言って、さっきまで座っていた場所に戻ろうとした。
白い容器が気になって、自分から去って行く輝を追いかけた。
「何でそんなの持ってんの?高いでしょ。見た事無いよ」
「いや、普通の家では常備品でしょ。お前みたいに、ちょっとの傷でも怖がる奴が昔いたの。俺の近くに」
よく見ると輝のポケットには色々入っていた。
「この液体、拭きたいんだけど」
刺さった部分を指差していった。
「ティッシュは貴重品だからあげないよ。こんなの袖で拭きなさい、袖で」
そう言って輝は、ポケットからハンカチを取り出した。
***
世話焼き輝
痛がりアール
背景素材を見て瞬間的に思い浮かんだ話です。
常備品とか言ってるけどうちにはマキロン無いです。イメージ的に常備品。
ポケットに色々入れてる奴は私です、ハイ。
とにかく色々入ってます。もっこりしてて不恰好だけど気にしない。
花粉の時期は特にもっこりしてます
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